唯我独論

ルアー・フライフィッシング、気象等に関する独論を綴る

はっきり言ってフライフィッシングでスズキを釣る事は難しい。フッコクラスまでならある程度は相手をしてくれるが、スズキサイズになるとまるで別の魚であるかのように相手にならない。では、何故私がそんな厄介な魚をフライで狙っているのかというと、同じ一匹であっても自分の中でその価値を高めたいからである。そして全てにおいて手間が掛かり、技術を必要とし、制約の多い自虐的状況の中で、なかなか釣れない一匹を狙うという行為自体が面白いからだと思う。

 今までのフライフィッシングという概念にとらわれずに、今までのルアー経験やスズキの性格・性質から発想されるフライ、空気抵抗の大きいフライでも安全かつある程度の距離をコンスタントに投げ続ける技術と体力、キャスト・リトリーブ・フッキング・ラインクリアランス・ランディングといった各々の局面における技術とそれをサポートするタックルと装備、たとえこれらの全てがアングラーサイドに満たされていたとしても、バイトポイントまでの距離・バックスペース・風の方向など、自然条件・フィールド条件が満たされなくては、フライフィッシングによるスズキ釣りは成立しないのである。

 現在の私のタックルは、ロッドが9ft10番か12番、リールはロッドに見合った物で適当に、フライラインはWFのフローティング、バイト時はラインハンド(ラインをたぐっている手)を引きながらアワセるので、シューティングラインでは厳寒期には手がかじかんでラインを上手く掴めない事とトラブルの少なさが選択の理由である。フライラインの先端から50ポントのバットリーダーを約1mとり、その先にクラスティペット・バイトリーダー・フライのセットが接続される。バイトリーダーには80ポンドを選択し、呑み込まれブレイクの対策としている。各セクションの接続はループトゥループとし、痛んだらすぐに交換できるようにしている。フライはなるべく大きくてボリュームの有るストリーマー系が主体、なにしろルアーと比べてしまうとシルエットに乏しいのがフライの最大の欠点なのですから。

 これからの「釣り」とは、ターゲットとする魚をキャッチするまでのプロセスの中にアングラーとしての楽しみとか喜びというものを見出すべきであると私は考える。つまりこの考え方にピッタリなのがフライによるスズキ釣りなのだ。「魚に最もやさしい釣り」それはフライフィッシングだと思う。何故ならフックの傷穴はひとつしか開かないし、なにしろ釣れないのだから()