唯我独論

ルアー・フライフィッシング、気象等に関する独論を綴る

水温とベイトによる行動パターン

 水温とベイトはシーバスの行動を左右する、重要なファクターで

ある。適水温内ならシーバスは水温の変動に強い魚であると私は考

えている。水温はベイトとの関係が深く、ベイトの存在=シーバス

の存在とも言えるし、ベイトの量=シーバスの数とも言えるところ

がある。

 水温とベイトというファクターで、シーバスはどのような行動をと

っているのだろうか?私はシーバスの行動を左右するもののうち、

水温とベイトはかなりの割合を占めていると思っている。一般的に

温は、魚釣りでは重要な要素として位置付けられている。よく聞

くのは今日は昨日より水温が落ちたから食いが悪いなどといった話

である。確かに水温が落ちれば魚の活性も落ちるだろう、しかし、

ことシーバスに限って言えば、あまり水温を気にしなくてもよいタ

ーゲットであると私は考えている。最近はサイエンティフィックな

アングラーが増え、水温計を持ち歩いては、必ず入ったポイントの

温度を計るようである。これはこれで喜ばしい事ではあるが、私な

どはそんなものは持たず、自分の体感水温計に頼っている程度なの

です。ある人に言わせると、水温はシーバスの行動がどうこうとい

うより、ベイトの行動を左右しているから計るのだ、ということら

しい。水温の推移から、その動向を予想したりできるようになる、

と言うのである。そう言われてみると、ベイトの動きというものは、

一年を通して大体決まっているものである。つまり、水温の変化と

関係しているといっても何ら不思議ではないのである。水温を計っ

ていればその傾向というものが掴めてくるのであろうが、季節の移

り変わりとベイトの動向に注意していても、その傾向を掴む事はで

きる。例えば、昨年は桜が咲く頃に稚アユの遡上がピークをむかえ

ていたから、今年もその頃にピークがあるのではないか、などとい

う事である。季節の移り変わりは、その年によって微妙にズレるも

のだが、自然界の生き物はそのズレを感じ取り、微調整しているは

ずである。つまり、水温というファクターだけにとらわれず、周囲

の自然の状態というものも合わせて覚えておく事も大切になるのだ

ベイトを捕るためにシーバスはその一生のほとんどの時間を費やし

ていると、私は考えている。ランカーサイズほど大型のベイトを好

むという傾向に異論は無いが、必ずしも大型のベイトだけを食べて

いるわけではない、という事も知っておかなくてはいけない。

できれば大型のベイトを狙っているだけで、仕方のない時は5cm

ぐらいの小魚だって食べているのである。私のホームグラウンドの

ランカーサイズのお好みベイトの代表は、ボラやコノシロ(サッパも

含む)ではないだろうか?これらのベイトは集団行動しているので、

バイトミスしてもすぐに次のターゲットがいるから、効率良く食事

ができるはずである。ボラはその年によって数に大きな違いのない

安定したベイトといえる、一方コノシロはその年によって大きくそ

の数が違い、当たり外れがある。大概コノシロの多い年はシーバス

の当たり年といわれる年になるものである。そんな当たり年といわ

れる年を、何度か経験してくるうちになんとなく気が付いたのだが

、それは「当たり年は産卵行動に移るのが早いのではないか」とい

う事である。何の為に秋から冬にかけて浅場にベイトを捕食に来る

のか、と聞かれれば、来る産卵に備えてベイトをたっぷり食べて、

体力を蓄えるためである、と答えるのが普通である。これが俗に言

う産卵前の荒食いというヤツになるのだが、体力ももちろん卵の成

熟のためにベイトを捕食しに来ていると考えれば、その時期にベイ

トが多く、予想より大量に食べる事ができた年、つまり当たり年は、

卵の成熟が早まり産卵行動に移る時期も早まって当り前なのではな

かろうか。どんな年でも、9月ごろの魚体では腹の太さに違いは少な

いが、当たり年とそうでない年では、12月に入った頃の腹の太さに

違いがあるように思えるのだ。腹が太いということは、ベイトを飲

んでいる(もちろんベイトが多い年なので、その可能性は捨てきれな

いが)以外には卵が成熟しているとしか考えられないのである。

適水温の範囲なら、基本的にベイトの多いところがシーバスの現れ

るところである。ベイトの情報というものは、ルアーマンの一番盲

点となりやすい部分なので、エサ釣りアングラーと仲良くなるのも

上達の道と考えましょう。 

おまけ1  水温はどこの水温を計るの?

水温を計る事は否定しないが、どこの水温を計るのかという問題が

あると思う。表層なのか水面下何cmなのか、水の淀んだ所なのか

流れている所なのかなど、色々な条件が考えられるからである。

海に潜ってみるとわかるが、表層と水面下1m下では、まったく温

度が違うし、真冬の厳寒期では淀んだ場所の水が凍っている事もあ

るからである。このポイントはここと決めて、いつも同じ場所で計

るなら良いが、その場その場でやたらと計っても意味があるのか私

には疑問である。

おまけ2  ボラの大群は要注意。

ボラは群れでいる事の多い魚であるが、いつも同じような場所に群

れているはずである。そう、答えは排水口である。どこの排水口も

何故かボラさんの好みに合うらしく、常時沢山のボラさんが集結し

ているものである。そんな排水口以外の何もないような場所で、ボ

ラが大量に群れていたら要注意である。なぜなら、過去に記録物が

釣れているのが、このようなケースだからである。また、スレ掛り

も多くラインの消耗が激しいので、本物が来た時にラインブレイク

なんて事の無いよう、こちらも要注意である。

おまけ3  本物のベイトに似せるとは。

ベイトとルアーを似せたければ、似ているルアーを買うか作ればいいのである。ベイトに似ているルアーはいかにも釣れそうに見えるので、ついバイト(アングラーが)したくなる。ところが、姿形をいくら似せても、水に浮かべた状態・泳がせてみた状態で似ていなくては本当は意味が無いのだ。また、ルアーを引くコースをベイトの動きと同調させるなど、よりナチュラルな演出も本物のベイトに似せてあげるためには必要な事である。